小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「あ! 歌恋!」
診察室の簡易ベッドの上に座る圭と、ベッドの横で椅子に座る良ちゃんが、入り口に立つあたしに同時に目を向けた。
不安と焦りで息が切れたあたしは、ポカンとふたりを眺める。
ベッドから下がる圭の足元をゆっくり見てみると、右足首に白い包帯が巻かれていた。
黒のTシャツに短パン、そしてビーチサンダル。
目を細めて首を傾げ、呆れたようにあたしを見るいつもの圭。
あたしは、力が抜けて、ヨロヨロしながら診察室に入る。
「圭……無事だったんだ」
安心したせいか、急に膝が震えだし立っていられなくなった。
その場にしゃがみ込むと、ジワリと涙が浮かんでくる。
「よかった……本当によかった……」
膝を抱えて大きく息を吐くと、ツーっと頬に雫が垂れていく。
それが涙なのか、髪から滴る雨なのかはわからなかった。
「良久、おまえ電話で歌恋に何て言ったんだよ?」
頭上から圭の呆れる声がする。
「僕はただ、圭がケガしたことを一応歌恋にも言っておこうと思って……」
戸惑う良ちゃんの声が、徐々に小さくなっていく。