光のもとでⅠ
 しばらくそうしていると、もう大丈夫だろう、ということで水を止めた。
 お茶を淹れ始めると、
「リィもお茶が好きなんだね。セリもお茶が好きだったんだ。淹れ方が一緒」
 唯兄は嬉しそうに話した。
「因みに、コーヒーが好きな人も淹れ方に拘りがあるんだよねぇ……」
「あ、挽き立ての豆だったり、熱湯で一度蒸らしてから、とか色々あるんですよね?」
「あれ? リィはコーヒー飲まないんだよね? その割に詳しくない?」
 確かに私はコーヒーを飲まない。けれども、うちは蒼兄とお父さんがコーヒー好きなのだ。
 お母さんはコーヒーよりは紅茶のほうが好きみたい。
 そんな話をしていると、大きなカップふたつにハーブティーが入れ終わった。
 トレイにカップとちょっとしたお茶請けを用意して、
「さてどうする?」
 と、訊かれた。
 リビングがいいか、蒼兄の部屋がいいか、私の部屋がいいか。
「どこがいい?」と、訊かれる。
 空の見える部屋は好きだけど、広すぎる部屋は苦手。
 でも、自分の部屋にはまだ社外秘のダンボールがあったし、蒼兄の部屋にも資料が積まれていた。
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