光のもとでⅠ
「やっと翠葉の笑顔が見られた」
「お母さんも笑ってる」
 ふたりして笑うと、いつしか涙は止まっていた。
「あのね、今の治療、明日までなの……」
「……神崎先生からうかがったわ」
 お母さんの表情が気持ち暗くなる。
「主治医になってくれる先生が帰国するまでの我慢だって」
 六日って言ってたかな……。
 正直、痛みは怖い。
 でも、六日でしょ……。
 入院するまでの地獄を思えばまだましだ。
 そう思うしか道がない。
「その期間、来てもいいのかしら……」
 お母さんが呟くように口にした。
「うん。でも――」
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