光のもとでⅠ
『藤宮司に貸しを作るのは大いに結構だけど、内容がわからなかったら頭の貸しようがないじゃない』
 もっともだ。
『でも、私にかけてきている時点で何に関することなのかはわかる気はするわ。……翠葉のことじゃないの?』
 簾条の察しがいいのか、俺がわかりやすいくらいに動揺しているのかは不明。
「……そう、翠のこと」
『ま、ことが翠葉のことなら聞かなくもないわ』
 どこまでも高飛車で俺のことを先輩扱いしない人間。こんなふうに接してくる人間も少ないな、と改めて思う。
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