光のもとでⅠ

27

「静さん、ものは相談なのですが、どうせこの先へ行くのなら、あのときと同じように秋斗くんに付き添わせたらどうでしょう?」
 藤原さんの提案に、静さんは私の顔を覗き込んだ。
「大丈夫かい?」
 今の「大丈夫」の意味はわかる。
「平気です……」
 あえて「大丈夫」という言葉を避けた。
「なら、呼ぶわね。――神崎医師、秋斗くんと司くんを十階に寄こしてください」
 五分もするとふたりは上がってきた。
「私たちは後ろからついていくわ。秋斗くんがあの日話したことを再現してあげたらどうかしら? 話を聞くだけよりも現実味があるんじゃない?」
 その言葉を聞いて、秋斗さんはあからさまに後悔をした顔をした。
 来るんじゃなかった、そんな表情。
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