光のもとでⅠ
 でも、拒絶の言葉は口にせず、「じゃ、行こうか」と車椅子を押し始めた。
 次々に解除されているセキュリティよりも、背後でその日を再現している秋斗さんがものすごくかわいそうに思えた。
 あんなにつらそうに話をして信じてほしいと言われたのに、私はまたひどい言葉を返してしまった気がする。
 秋斗さんは自分に課せられたもの、とでもいうように、その日の流れどおりに動き話をして悲しそうな顔で笑った。
「こんなことやってたら、信じてもらえるわけがないよね……」
「秋斗さん……」
「ごめんって言わないでほしい。これ以上謝られるのは耐えられそうにないから。謝らなくちゃいけないのは俺――」
「違うっ……そうじゃなくて、今の私が今の秋斗さんに謝りたい」
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