光のもとでⅠ
 私が隣に並ぶと一緒に階段を上がり始める。
「始業式、桜林館の空調をフル稼働するように秋兄に言ってあるけど、少しでも血圧が下がり始めたら座れよ?」
「うん」
「それから、図書棟に移動するときは簾条か海斗と――」
「ツカサっ。私、そこまで子どもじゃないっ」
「……わかった。俺が連れて行くのが手っ取り早い。教室で待ってろ」
「ちょっとっっっ!?」
 何もわかってないよ。
 でも、私の言いかけた言葉なんて気にも留めず、三階へと続く階段を上っていく。
「悔しいなぁ……」
「翠葉……?」
 階段を上がってきたのは桃華さんだった。
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