光のもとでⅠ
「図書棟と三文棟の間。エレベータの近くに待機してて」
『了解。湊ちゃんには俺から連絡を入れる』
「頼む」
 必要最低限の会話で切る。 
 それにあの姉だ。
 秋兄が連絡をするまでもなく、こっちへ向かっているに違いない。
 算段が立てばあとは走るのみ。
 動けないって何? 血圧? それとも痛み?
 俺が駆けつけたときには翠と翠に付き添っている二人を取り囲むようにして人が集まっていた。
 翠に付き添っていたのは三年のクラス委員長ふたり。
「秋兄に車回してもらってる。そこまでは俺が連れていくから」
 テラスで横たわっている翠に声をかけ抱え上げると、
「ツカサっ、痛いっっっ」 
 俺の腕から逃れるように身体を丸める。
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