光のもとでⅠ

23

 バンッッッ――。
 先生が手に持っていたファイルを床に叩き落した。
 病室に大きな音の余韻だけが残る。
「いいか? あれを飲むことでどんな変化があったか教えてやる。血圧の上昇、体温はもともとCFSの症状で微熱だったからとくに数値変化はなし。浅い睡眠に頻脈の多発。効果が切れたときの血圧低下。そのくらいはそのバイタル装置が知らせてくれる」
 言われたことには覚えがあった。
「おまえは慢性疲労症候群を知っているくせに、『過労』を知らねぇのか? その先に待っているものは『過労死』――。不整脈による突然死だぞ」
「っ……!?」
「ピルケースにβ遮断剤が多めに入っているってことは、おまえも頻脈には気づいているからだな?」
 こくりと頷く。
 動いている分なのか、眠りが浅いからなのか、ここのところ頻脈発作が起こることが多く、それをすべて薬で抑えていた。
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