光のもとでⅠ
「何……?」
 不機嫌そうに訊かれる。
「何って……なんでツカサがパソコンを持ってきてるのかわからない」
 思わずファックス用紙を両手で持って守りの体勢に入ってしまう。
「今日、いつもより作業を始める時間が遅かったと思うけど?」
「だらか何?」
「滞ると困る」
「でも、これは私の仕事っ」
 ツカサでも譲らない――。
「……ふーん。一応自覚はあったわけか。紅葉祭が終わったら辞めるとかほざいた人間だけど」
 険呑な視線を向けられる。
「――辞めない。辞めないよ」
 さっきの今で言っていることが正反対だから、大きな声では言えなかったけど、決心はしたの。
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