光のもとでⅠ
 ゲストルームのインターホンを鳴らすと、過保護な兄ふたりに出迎えられた。
「来ると思ってた」
 そう言ったのは唯さん。
「何がですか? いつもより三十分ほど早いだけのことでしょう」
 靴を脱ぎながら適当に答える。
「いや、何かあったっぽいからさ」
 何があったかは聞いていないということか……?
「普通、何かあったのなら来ないんじゃないですか?」
「普通はね? でも、司っちは普通じゃないし、こんなときに来なかったらそれこそ司っちじゃないでしょ」
 脱いだ靴を揃え顔を上げると、唯さんがにんまりと笑っていた。
 御園生さんはその隣で、
「唯、いい加減にしておけ」
 と、呆れた顔をしている。
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