光のもとでⅠ
「大丈夫だよ。……私は大丈夫だから、そんなつらそうな顔しないでね」
 言いながら、腰のあたりをポンポンと叩かれる。
「くっそ……普段弱っちく見えるくせに、こんなときは強いのな? ちょっとずりぃ……」
 俺は涙声になりながら、抱きしめる腕にほんの少し力をこめた。
「海斗くんたちが教えてくれたんだよ」
「え?」
「踏み出す勇気、信じる勇気、支えあえる関係」
 言葉をひとつひとつ区切り、最後に身体を離しては、俺と視線を合わせてにこりと笑う。
「怖いの……わかるって言ってくれてありがとう。でもね、踏み出した先には、信じた先には大好きな人たちがいたよ。だから、海斗くんもきっと大丈夫。ほら、私はここにいるでしょう?」
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