光のもとでⅠ
 ――無意識。
 その言葉にドキリとする。
 私の無意識はいつも自分を痛めつけるために働くの……?
「美波さん、爪切りありますか?」
「……あ、そうね。切っておいたほうがいいわね」
 と、救急箱の中から爪切りを取り出し渡された。
 ほとんど切る必要がないほどの長さ。それでも切る……。
 そうでもしないと、また爪で引っ掻いてしまいそうだったから。
 無意識の自分が何をするかなんてわかりようがない。
 栞さんが私をひとりにしたくないと思ったのはどうしてだろう? もしかたしら、こういうことを想定したから?
「あとで日焼け止め防止の手袋を持ってきてあげるわ。そしたら、一応カバーになるでしょう?」
 そんな話をしているところに栞さんが帰宅した。
 どうしよう……。自分を傷つけないって約束したのに――。
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