光のもとでⅠ
「忙しいです?」
「んー……これから一週間くらいはかなり忙しいかな」
「そうなんですね……」
「……どうした?」
 と、こちらをうかがう眼差しを向けられる。
「いいえ。少し相談したいことがあっただけです」
「……夕飯は一緒だし、そのあとなら少しくらい時間取れるよ」
 にこりと笑ってくれるけど、
「無理して時間を作ろうとしてませんか?」
「大丈夫! こう見えて、俺、意外と仕事はできるんだ。蔵元さんと秋斗さんにこき使われるくらいにはね」
「秋斗さんはどへ出張しているんですか? いつ頃帰ってくるんですか?」
 若槻さんの表情が少し固まる。けれどもそれも数秒のことだった。
「うーん……俺がここにいる間、即ち一週間は絶対に帰ってこれないし、そのあとも仕事が長引けばもう少しかかるかなぁ……。とりあえず、自分が帰ってくるまではここにいろって言われてるんだよね。帰ってくる日がわかったらすぐに教えるよ」
「ありがとうございます」
 自分の声が沈んでいくのがわかる。
「リィ、秋斗さんに会いたい? ……寂しい?」
「わかりません……。でも、気にはなります」
「……そっか。ま、そんなときもあるよ!」
 明るく言うと、
「じゃ、俺仕事に戻るわ」
 と、部屋を出ていった。
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