光のもとでⅠ
 佐野くんは数秒考えて、
「いえ、わかんないところ確認しながらやりたいんで」
 と断った。
「俺、無理……。絶対あんなペースついてけない」
「俺だって毎回必死だってば。でも、あのペースに翠葉は難なくついてっちゃうからさ、俺の肩身の狭いのなんのって……」
 じとり、と見られて少し困った。
「海斗くん、ツカサのあれについていけるのは基本的に理系だけだよ。文系でやられたときはものすごく必死だったし……。でも、終わったときの達成感はあるよね?」
 苦笑を返すと、
「俺は答え合わせの時間がひたすら恐怖なんだけど……。答え合わせが終わって一問でも間違ってると、ガッツリ似たり寄ったりの問題追加されるしっ」
 頭を抱えて、「うぉぉぉっ」と唸る。
 それを見かねた佐野くんが、
「ま、何にせよ、学年首位やら上位をひた走るにはやっぱそれなりの努力が必要だってことがよっくわかりました」
 話をきれいにまとめられて会話が収束する。
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