光のもとでⅠ
「絶対的に言葉が足りてないと思う。俺に困っているなら俺の何に困っているのか知りたいんだけど」
「……顔?」
「……翠。前にも言ったけど、顔は急に変わらないし変えられない」
 そんなことわかっているし、変えてほしいと思っているわけでもない。強いて言うなら、
「笑われると……困るの」
 急に心拍数が上がったり体温上昇したりするから。
「……翠はこの顔が好きなんだと思ってたけど――」
「好きとか嫌いじゃなくてっ」
 勢いあまって否定したものの、これ以上ないくらいに顔が熱くなる。
「あのっ、困るだけだからっ。……それから、手……」
「……手って、これ?」
 私の左手首に触れていた手が、確認するみたいに少し上に持ち上げられた。
「そう。熱い、から……」
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