光のもとでⅠ
 正直、先日のパレスの客層には気圧されてしまった。
 以前、雅さんが口にした社交界とはああいうことを言うのだろう。
 この場には馴染めない。瞬時にそう思った。
 藤宮には関わっていく。けれど、それとこういう場に出席するしないはイコールではない。そう思いたくて、誰かに確認をしたいと思っていた。
「朗元さん……。藤宮に関わるということは、こういう会にも出席しないといけないのでしょうか……」
「お嬢さんが来ることで喜ぶ人間がおる。それだけじゃ。強制ではない」
 言われてほっとした。
「事実、お嬢さんを招待できるパーティーは年にそう何度もあるわけじゃのうて。藤の会とわしの誕生日、ほかにはパレスのプレオープン。そのくらいじゃろう。そして、お嬢さんを呼ぶ際にはご家族揃っての招待になるじゃろう」
 それなら、と思えた。年に二回、家族も一緒なら、と思えた。
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