ホワイトタイガー
しばらくすると1人の女の人が身支度を調えて部屋から出ていった。

後ろ姿を追った時に見た髪の毛はシャンプーのCMのようで、馬のしっぽみたい歩くたびにフワフワと揺れていた。

いったいどれぐらいワカメを食べたらあんな髪になるのだろうか、それにしてもどこまで散歩に出かけたんだろう。


またひとり、またひとりと席を立ち、玄関のドアの音の数だけ人が減っていく。

そしていよいよ私の隣に座ってる最初に「どうぞ」と言ってくれた子と二人っきりになった。

姿勢良く両膝をピッタリとつけて初めて見たときからビクともしない。トイレにも立ってない。太い文庫本のページを規則正しくめくっている。

二人っきりで横に居続けるというのも不自然なのでソファから立とうとすると足が痺れて動けない。まさかとはおもったが、変な体勢で長時間座っていたからか。

隣に座る子にどちらが最初に動くかという勝負をふっかけてると勝手に思われていたらどうしよう。

私の方が年上っぽいが、そんな年上だからで勝つような程度の低い勝負はしたくない。なめんな。

なにしろ相手は、私が来てから今までずっと同じ姿勢でトイレにも立っていない。文庫本を見ると残り数ページだ。おもしろいおもしろくないにかかわらず、ここは一気に読むところだろう。

彼女は大富豪でいうところのAとか2ばっかりの状態で、私は足が痺れているというジョーカー以外は絵札すらない。






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