ホワイトタイガー
エアコンに冷やされたシーツ、私はデリヘル待機所のベッドにうつぶせで寝ている?

頭が妙にふわふわするのは、きっとビタミン剤だと入浴前、あの女に渡されたあやしい錠剤のせい。どうかしてる。

いや、途中から考える事は放棄していたのだ。考えるとか決めるとか、そういうのはめんどくさい。

シャワーの音に集中する。すると身体に当たる水の音で輪郭が形成されるほどの集中力をみせる。

私の頭は今、冴え渡っている。



鍵穴に鍵がぐしゃぐしゃと差し込まれる音がした。ドアの開く音にむくりと起きあがり、ドアの方向に視線を向けた。

隔てた壁までは透けてはくれない。

あらためて自分の格好と状況に、だらしがないと嫌悪しあきれた。歩いていったのか、意識だけが透けるようにして飛び出したのかシャワーの蛇口をひねる音、その指先。それらがハッキリと見えたようなきがした。

シャワーの音が止まり、慌ててシャワーカーテンを開ける音。その姿が。


玄関にはタンクトップ一枚で立つ男。

両手で、まるめた毛皮を抱きしめている。

まるで生まれたての赤ん坊を丸めたようなサイズ。

ベルトにはリードが繋がっていて、クリーム色のミニチュアダックスはリードいっぱいに離れており、怯えている。

バスタブをまたぐ女はシャワー室からとびだす。ほぼ同時にギャーという悲鳴。お父さんやめて、お父さん。

お父さんと呼ばれた男は女を殴りつけ、よろめく女を蹴りつけている。

お父さんと呼ばれた男はこちらに向かって歩いてくる。それをうしろから、はがいじめにする女の股間には、なぜだか細いチンコがぶらぶらと揺れていた。

悲鳴とやめてお父さんという美少年の声。

お父さんて

いったい何歳のときの子供だ。
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