総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
わけもわからず、あたしは何も言えずにいた。
そんなあたしに、ヒサが優しく声をかけてくれる。
「レナ、さっきも言ったが今からの事はお前は絶対に知っておかなくちゃならねぇことなんだ。」
「‥‥‥わかった。‥‥‥‥あたしの小さい時の記憶はね、あたしとヤミとヨウ。シンの4人でただ無邪気に笑ってる姿だよ。」
「おい、レナ。なんで今ヤミの事を"お兄ちゃん"って言わなかったんだ?」
シンが意味深なことを聞いてくる。
「お前、心のどこかでは気づいてたんじゃねぇの?」
止めて、それ以上言わないで。
「ヤミが‥‥。」
お願いだから、そんな瞳であたしを見ないでよっ。
「お前の兄貴じゃねぇってことを。」
ヤミの視線が、あたしにすがりついて離れなかった。