総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
けど、あたしは振り向かなかった。


初めて、ヒサの声が耳に入らなかった。


ルイの横を横切って、視界の端に入ってたはずなのに、それすら気づかなくて。


がむしゃらに走った。


ヤミだけを目指した。


「レナちゃん!」


ルイの叫ぶ声も入らなくて、あたしの聴覚も視覚も。


全ての神経が、ヤミにだけに向いていた。


ヤミだけを捉えていた。


「ヤミっ!」


こんなに、大声で人の名前を呼んだのはいつぶりだろうか。


縮まる距離と、スローモーションのようにゆっくりとあたしを見るヤミ。


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