総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
ベッドの近くに行き、レナの手を優しく掴んで目線を合わせる。


「名前は、覚えてる?自分の、名前。」


小さくまた、首を縦に振る。


「じゃあ、家族のことは?」


「おい、ヤミ‥‥一体何を」


レナがまっすぐ俺の目を見て、今度は首を横に振った。


もう、迷わなかった。


この時の俺は、自分の欲望で動いていた。


ただ、レナの一番でいたかった。


ずっと、そばにいたかった。


ただ‥‥


「俺は、レナの兄貴。お兄ちゃんだよ」


助けたかったんだよ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥行き場のなかった、俺の感情を。


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