銀棺の一角獣
「この部屋にいるとしっかりしなさいって――わたしを叱咤しているお父様の気配を感じるの」


 口元をわずかに緩めて、アルティナは言った。


「騎士たちの稽古を見に行くと、そこにはお兄様がいて――」


 アルティナは首をふって、感傷に沈み込むのを必死にこらえようとした。


「……どちらにも恥じるようなことはしたくないわ。できるだけのことを――全力でやるだけ」

「……ご立派です。アルティナ様」

「ありがとう。できるだけ立派でありたいと……そう、願うわ」

「――彼を、お連れになるのですね」


 宰相の低い声に、アルティナは頷いた。


「あちらで何が待っているかわからないから。ルドヴィクがいてくれれば心強いもの」
< 10 / 381 >

この作品をシェア

pagetop