銀棺の一角獣
 ルドヴィクが戻ってきたのは、日も暮れようとする頃だった。近くの村で調達してきたという馬を二頭連れている。

「ひとまず金銭を渡してきましたが――都に戻ってから改めてお礼してやってください。アルティナ様」

「わかったわ」


 アルティナはルドヴィクの言葉を受け入れる。ルドヴィクは通常の価格よりもだいぶ安く馬を譲り受けきたのだろう。そうでなければ、改めて礼をなどとは言い出さないはずだ。


「僕は別行動をした方がいいんじゃないかな? 僕が一緒だと、父が追ってくるんじゃない?」


 ふいにキーランが口を開いた。


「別行動って……」


 キーランの視線が、ルドヴィクとアルティナの間を往復する。言葉につまってしまったアルティナの代わりに口を開いたのはルドヴィクだった。

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