銀棺の一角獣
「いえ殿下。わたしたちには殿下のお力が必要です」


 ルドヴィクとキーランは正面から視線を合わせた。


「必要?」

「アルティナ様をお守りするために――どうか、お力をお貸しください。殿下」


 先にルドヴィクの方が膝を折る。キーランは何も言えずに立ち尽くしていた。


「……キーラン」


 アルティナはそっと彼に近づく。


「お願いがあるの」


 肩から流れ落ちる銀の髪にキーランの視線が揺れた。


「――あなたの力を貸してください。うまくいけば、ライオール陛下――あなたのお父様も解放してあげられるかもしれないもの」

「……アルティナ」


 キーランはアルティナに手を伸ばし――肩に触れようとして、そのまま手を落としてしまう。

 三人の間には微妙な空気がただよう。ティレルは興味なさげに顔をそらせた。
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