銀棺の一角獣
「行くよ、もちろん」


 とあっさり同行を決めてくれた。

 剣は不得手と本人は言っていたけれど、護身のために今は剣を帯びている。これは昨夜宿泊した村で入手したものだった。


「……まずは都ね。そこで何をするの?」

「あの王子を神殿に預ける――神殿でやってもらわなければならないことがあるからな。それは戻ってから神官長にでも確認しろ」

「わかったわ。それからリンドロウムの森――あなたの角を手当するのね」

「あの銀の箱に入った当時ならともかく、今は自力で治せるだろうから――とにかく森に行って精霊たちの力を借りなければ」


 どうやら、自分が入っていた棺を棺、というのは不愉快なことらしい。それに気づいたアルティナは、ティレルの背中で小さく笑った。


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