銀棺の一角獣
 翌朝の出立は、まだ暗いうちに行われた。


「これから、どうするの?」

「一度都に戻る。キーランの身体も見てやらなければな――全力で飛ばすから、お前たちはしっかり掴まっていることだけ考えればいい」

 ルドヴィクはてきぱきと荷物をまとめ、ティレルに断ってからその背に馬具と荷物を載せる。アルティナをティレルの背に押し上げると、彼はアルティナの後ろに飛び乗った。


「ねえ――」


 アルティナは、ティレルに話しかけようとした。昨日の剣がどんな意味を持っているのか――それを確認したかったのだけれど。


「後にしろ。急ぐぞ」


 ティレルは、アルティナにそう言うと、一度大きく身を震わせる。悲鳴を飲み込んで、アルティナは馬具にしがみついた。

 力強いルドヴィクの腕が後ろからしっかりと腰を支えてくれる。それでもティレルが走り出すと、その勢いに負けそうでアルティナはますます馬具にしがみついた。

 今までとは比べものにならない。馬とは比較にならない速度で、ティレルは進む。追っ手に見つかったとしても、これでは追いつくことはできないだろう。
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