銀棺の一角獣

 寛大な申し出とはまるで違うのは、アルティナ自身もわかっている。一方的に攻め込まれ、蹂躙され、そして皇太子と国王をあいついで失ったのだ。

 そんなことでもなければ、アルティナが女王として即位することもなく、こうしてこの場に立つこともなかった。


「……美しいな」


 ライオールから発せられたのは、アルティナが思ってもみなかった言葉だった。


「月光の色の髪といい、紫水晶の瞳といい――」


 魅せられたかのように玉座を降りたライオールは、彼の前に立っているアルティナの側まで歩み寄ってきた。

 二人の視線が絡み合う。蛇ににらまれた蛙のような気持ちになって、アルティナは身を震わせた。


「だが、喪服はいただけないな」


 ライオール王の視線は、アルティナのまとう喪服をいただけないというように上から下まで往復する。
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