銀棺の一角獣
 ディレイニー王国第三王子は、アルティナと同じ年齢だと聞いている。背は高いが、身体は細身で剣を握ることができるのかも疑わしいとアルティナは思った。


「アルティナでございます。キーラン様」


 彼の目にはどう判断されているのだろう。美しく見えているだろうか。どきどきしながら、アルティナは彼に向かって恭しく頭を垂れて見せる。

 ――彼に気に入られなければならないのだ。彼をうまく動かすことができれば、国を守り通すことができるかもしれない。

 キーランは、アルティナを笑顔で見つめている。父であるライオール王と同じ赤と金の入り交じった髪に緑色の瞳。


「我が国にようこそ」


 父親はどこか獰猛な雰囲気を感じさせているけれど、キーランは違った。
 春のような温かい目だとアルティナは一気に胸が軽くなるのを感じた。少なくとも彼にはライオールのような恐ろしさは感じない。

 皇太子である第一王子と、第二王子はこの場には居合わせなかった。彼らは別の国との戦争に出ているのだという。その二人は父であるライオール王に似ているのだろうか。
 アルティナは、その疑問を口にすることはできなかった。
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