銀棺の一角獣
 一角獣のおさめられた棺を王宮内に入れるために窓を広げなければならないのだと聞いてはいたけれど、こんな夜遅くになっても工事を続けているとは思わなかった。


「うるさいですね。アルティナ様、お休みになれますか?」

「大丈夫よ、ありがとう」


 気遣わしげな視線を向けるケイシーは心優しい少女だ。この国に来て、これほど大切に扱ってもらえるなんて予想もしていなかった。

 薬草茶に眠りを誘われて、アルティナはベッドに横になる。工事が終わった後のことは頭から追い払った。
< 36 / 381 >

この作品をシェア

pagetop