銀棺の一角獣
キーランの提案
 アルティナが気がついた時には、見たことのない部屋に閉じこめられていた。

 昨日与えられた部屋とはまるで違う。昨日の部屋は、一国の君主をもてなすのにふさわしい調度品が備えられていた。ここは違う。部屋の隅に粗末なベッドが一つ。

 アルティナは自分が寝かされていたベッドに起きあがると、自分の身体を確認する。

 起きあがった時に、鳩尾に痛みが走ったのは拳をたたき込まれたからだ――キーランに広間から引きずり出された後のことを思い返して、アルティナは一人顔をしかめた。

 おそらく彼はアルティナを逃がしてくれるつもりだったのだと思う。けれど、追ってきたライオールは何かにとりつかれたかのようだった。

 そこから先は断片的な記憶しかない。キーランが壁に叩きつけられて悲鳴を上げたのだけは覚えている。

 その直後に襲いかかってきたのが鳩尾への衝撃だった。
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