銀棺の一角獣
 騎士たちの部屋はアルティナが宿泊している部屋の正面にある。アルティナはキーランに連れられて庭園を横断した。

 ライディーア王国の騎士たちは、今日は庭に出ていた。キーランに連れられたアルティナを見て、彼らは頭を下げる。


「元気そうでよかった……ルドヴィクは?」

「彼はまだ……、あちらの部屋に」


 アルティナは、キーランの許可をえて、騎士たちが寝泊まりしている部屋へと入った。

 それなりな広さのある部屋は、窓際にベッドが五つ並んでいる。その一番端にルドヴィクは横になっていた。

 目を閉じている彼の額に巻かれた包帯が痛々しい。アルティナは手を伸ばしてそっとその包帯に触れる。

 キーランは入り口に立って、アルティナを見ていた。


「ルドヴィク」


 アルティナはそっと声をかける。熱に浮かされた彼が、ゆっくりと目を開いた。


「……アルティナ様」


 小声で彼は名を呼ぶ。


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