サファイヤアンドロイドの夢
「集会だ。」


私は短くそう答え、車を自動から誘導隊の支持にあわせ、手動に切り替える。
車を手動で運転するのも3年ぶりだった。

集会のときはいつも、私がMr.Dの専用車を運転し、彼を会場まで運んでいた。
あの頃、Mr.Dの人気は頂点を極め、連日の集会で眠る暇もなかった。
会場から会場への車での移動時間ですら、彼にとっては、貴重な休息や睡眠の場だったのだ。

私はいつも、細心の注意を払い車を運転した。
彼の眠りを妨げる事がないように。
振り向けば男は、まだ窓の隙間から外の景色を見ている。
男が集まった信者達に見つからないかと私は気が気ではない。

妙な感覚が私を襲う。
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