サファイヤアンドロイドの夢
ライラは気づいてもいまい。
上層部には、Mr.Dを堕落させた原因はライラにあるとして、ライラを廃棄処分にする計画すらあった。
その計画を排除し、ライラを守り通して来たのはこの私なのだ。

Mr.Dがお帰りになられたら、彼は、ライラの足を残念がるだろう。
ライラを傷つけまいとして、わざとからかったりするだろう。
彼のそんな姿を見たくはなかった。

部屋も、この国も、ライラすらも元通りに、あの日のままにしておきたかった。
それが、Mr.Dへの忠誠の証でもあるかのように、私は、この3年間を生き続けて来たと言うのに。

彼を苦しめる全てを私が引き受けてしまいたかった。
彼が悩む全てを、私が取り除いてしまいたかった。
だが、それは、
彼を追い詰めただけだった。
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