サファイヤアンドロイドの夢
優夜
男は頬が腫れ上がり、元の顔を思い出せないほど一酷い状態だ。

私は、我が部隊精鋭の医療用アンドロイドを集めたつもりだったが、人間用の設備のないところでその機能が発揮されようはずがなく、アンドロイド用の機材では、スキャンも撮れずに、12体ものアンドロイドが揃っていながら出来たのは、辛うじてこれ以上傷が悪化しないようにとどめた程度だった。苦労した挙句、男の全身に手当てを施した後は、鎮痛剤の力で眠らせた。

治療の間にも、人間が、それもMr.Dの声を持つ男が、私たちアンドロイドの国に侵入し、記憶喪失を煩っていると言う噂はたちまち国中に広まり、本部に問い合わせが殺到していると言う。
ノーコメントを通せと命令を下したものの、早く対処しなければ、暴動すら起こりかねない勢いだ。
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