サファイヤアンドロイドの夢
淀んだ水の中に落したものを拾おうとして手を伸ばす感覚に似ている。
あと少し、と言うところで取れない。
私は身を乗り出す。
あと少し、もう少しで手が届く、あと・・・・・・


「ジェイル秘書官。」


ドクターリンに呼ばれ、私は現実に引き戻される。


「ああ、検査結果は出たか?」


振り向くと男は、身体中につけられたコードを無理やり引き剥がしているところで、検査官達に慌てて押さえ込まれていた。


「断定はしかねますが。」


前置きをつけてドクターリンが言う。
勿体ぶらなくても答えは予想出来た。
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