サファイヤアンドロイドの夢
Mr.D
朝から5時間もかけて行われた検査に私はうんざりしていた。

それは当の男も同じらしく、何とか人間用に改造した機材で脳波を取る時など、何度も眠りそうになり、検査官から叱責を受けていた。
男は私を恨めしそうに見、私にだけ見えるように唇を動かした。
その唇の動きは、た、い、く、つ、と読み取れた。

私は目だけでおとなしくしているように訴えた。男は、私の視線を受け、唇だけを歪めて笑うと、気を散らすなとまた検査官から注意される。

その独特の笑い方は、私の記憶を呼び覚ます。
またあの感覚だ。
気持ちの悪いデジャヴュ。

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