百鬼夜行の主


「なぁ、鬼李の娘。訊きたいことがある」


アイスを食べながら、気狐が私に問いかける。


「お前、いつからあの百鬼夜行の主をやっているんだ?」


「いつからって…4年前の夏から」


私はアイスをかじりながら答える。

「お前、なんでそんなに短い時間であそこまで百鬼の心を掴んだんだ?」

「こっちが聞きたい」といいかけたが言葉は喉で詰まった。


「…正直、私にも分かんない。けど…いつの間にか皆が私についてきてくれたんだ…」


「そうか」と一言呟き、気狐はアイスの棒をゴミ箱に捨てた。


「俺にはそう言うのはなかったから、羨ましいぜ。そう言うの」


気狐が寂しそうに微笑む。


「あんたには、敵の百鬼夜行に加わってもついてきてくれる仲間がいる。それだけでいいんじゃない?」


私はアイスの棒をゴミ箱に入れ、気狐の頭を撫でた。


「…そうだな」


気狐は静かに微笑み、私の前から姿を消した。

< 130 / 157 >

この作品をシェア

pagetop