夏の君を

鈴木武士

野球部の中で、唯一彼女がいるのは鈴木武士くんだけだ。


ちょうど春の甲子園が終わったくらいだった。


「アカリちゃん!」


「どうしたの?」



顔を真っ赤にしてモジモジしている鈴木くん。


「あの…さ俺明日記念日なんだ!」



あーそっか。
たしかバレー部の池上さんと付き合ってるのか。



あの子かわいいんだよなーとか呑気なことを思っていると鈴木くんが続けた。


「俺…いつも記念日忘れるから…でも、明日の記念日は一年の記念日だからなんかプレゼントしたくて…女の子からして、彼氏に何もらったら嬉しいかなって…」


かわいいっ!


てか一年て長いなー。


「あたしは気持ちがあればなんでもいいと思うよ。あ、でも強いて言えば最近はネックレスとか指輪とかかもね、お揃いの。」



この間初美が彼氏に指輪もらったって喜んでたし。


「そっかぁ!ありがとな!アカリちゃん!」
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