『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
そんな事を考えていたら…
「葵?俺、そろそろ行くな?」
「え?あっ、はい。試験勉強もバイトも頑張って!!」
「おっ、おぅ!!」
潤くんは颯爽とホームの階段を駆け上がって行った。
私も急がなきゃ…。
階段を下って、地下鉄のホームへ。
通勤ラッシュの人の中、大学へと向かった。
あの日以来、
大学の構内で亘を見かける事はあっても、
ストーカーのようにつけ回される事はなくなった。
まぁ、待ち伏せされる事は多々あるけど。
私が潤くんの浮気を黙認してると思い込んでて、
『諦めて俺にしろ』を繰り返す。
ホント……いい加減にして欲しい。
女の子なら腐るほどいるだろうに。
こんなに独占欲が強いなら、
なんで付き合ってた時にそれを発揮しなかったのよ!
もう少し優しく、大事にされてたら…
私の気持ちも少しは変わってたかもしれないけど。
だけど、今の私には絶対無い!!
アイツとやり直すだなんて…
無い、無い…絶対無い!!