レベッカ



「アレン、かっこよかったよ、昨日」
「はぁ?」
「囚われのお姫様気分。ちょっとキュンときちゃったよ」
「……バぁカ」


笑いながら言うロイに、アレンは呆れた顔を返す。

だが、そのまま頬に貼られたガーゼをつついてからかおうとした手を、ロイが掴んだ。


「聞いた。自分の部下、あんなふうに簡単に見捨てる奴だったんだな」


ロイの硬い声に、アレンも表情を険しくする。

マルクのことだ。
アレンが許せなかったのは、難癖をつけてロイを拉致したことよりも、その責任を全てハリーに擦り付けたことだった。


「……顔見たら、ブッ殺しちまいそうで」


だからずっと屋上にいるのだと、アレンは呟く。
けれどそれも今一逆効果だったようで、ここで一人で考え事をしていると、自然とマルクやハリーやパウルのことを考えてしまっていた。

溜め息を吐いて、口を開く。





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