砂漠の水車
「さ、行きますよひっつん」
アルファが彼の襟首をガッと掴んで引きずる。
「ひっつん言うな、ってこら、自分で歩くから手ぇ離せってこら!」
「ほらほら早くー」
問答無用とはこの光景か。
溺愛する弟兼上司兼親友と麗しの隊紅一点が心配でならないらしい副隊長様は、なんだかご機嫌斜めらしい。
「おまっ、お前なんか怒ってるな、怒ってんだろっ、ちょ、離せよ馬鹿っ歩けねぇよ!」
「黙って歩け、出来損ない侍」
「ああ!?」
「………ああ、いえ」
アルファは足をピタリと止めると、掴んでいたヒツギの襟首を急に手放した。
突然だったのでヒツギは儘落とされる。
「出来損ない、は余計ですね、すみません」
「いってぇ…。
なんだよ突然、気味悪いな」
「いえ」
くるりと踵を返して、アルファは曇った顔色を見せないかのように、さっさと歩いていった。
あとからヒツギが追いかける。