砂漠の水車
ジンとレインは、外壁の入り口から伸びる広い通りから二本ほど右に逸れて、大人一人がやっと通れるような狭い道を見つけた。
建物に押し潰されそうな。
おそらく道として扱われていたわけではなかろうが、しかし新しい足跡が無数に残っている。
大通から続くそれは明らかに靴を履いている。
すなわち武装兵だ。
「俺が先に行こう」
ジンは邪魔になりそうなヴェールを脱ぎ捨てながら言った。
レインは首を横に振る。
「いけません、主、鉢合わせになっては…」
「反射神経には自信があるが」
ジンはからかうように笑った。
からかわれている方は必死である。
「勿論です。
ですが、主の身の危険性を排除するのが私の仕事です」
「危険性の排除を優先させるなら隊長<俺>はお家で留守番させるべきだったな」
「……………」
黙りこくった彼女を見て、ジンは気さくに微笑んだ。
「お前の仕事は俺のアシストだ。
後ろを頼む」
「…はい」