砂漠の水車
「とはいえ危ないからな」
ジンは、足元に幾つか転がっている石を手にしてその一つを投げた。
地雷を踏めば堪ったものではない。
さく、と砂の音がして、石は地面に刺さって沈む。
「………大丈夫なようだな」
安全と判断され、二人は暗くて狭い道に足を踏み入れた。
ジンは左手に指が抜かれた革手袋をはめる。
ぱちん、と指を鳴らすとその左手の上に炎の塊が表れ、程よく視界を照らした。
ランプを持ち歩かなくて済む、便利機能な魔術である。
彼、帝国騎士団第7隊長を勤めるジン・アイヴァンスは、宗教上の規約に反する魔術師を狩る生業でありながら、本人が魔術師である。
帝国で絶対禁忌とされる魔術であるが、第7隊に在籍する者のみ、使用が許可されている。
人外な力を扱う魔術師狩りには、同等の力をもってして対抗すべきというのが言い分。
現在の第7隊にはジンを含め、三名が魔術師である。