アカイトリ
神剣の鍛冶職人
その時


世界をさ迷う全ての神の鳥たちが



天を見上げた。



とある色の鳥は気色ばみ



とある色の鳥は絶望に身を浸す。



とある色の鳥は憎悪と歓喜に襲われ



とある色の鳥はいきり立ち、眠れぬ夜を過ごした。



――天花は目覚めた。


涙が頬を濡らしていた。


「…何故わたしは泣いて…?」



天花の隣で颯太は目覚めた。


異常な胸騒ぎと、身体から沸き上がる喜びに満ちた感情を持て余しながら。



――凪は、根城の洞窟で目覚めた。


全身を汗に濡らし、震えが止まらずにただ動揺し、うずくまる。



…ひとりの人間が、真っ赤に焼けた鋼から目を天に映した。



「…近くに、居る」



神の鳥が。



この手で作った、この神の剣で殺してやる――



一羽も残らず――……
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