アカイトリ
隼人はその足で、楓たちが詰めている客間へ向かった。
…天花と颯太の間に、確かな絆を感じる。
この短い期間の間に、颯太は頑なで凝り固まった朱い鳥の孤独であったり、淋しさであったり。
それを全て払拭したというわけだ。
――隼人は、まだ十分に若く、魅力に溢れた笑顔・・・思い出し笑いだが、颯太が成し遂げた数々の奇跡に驚きを隠せない。
神は、生殖能力がない。
けれど人類と、神の鳥にはその機能を与えた。
「仇になったな、神よ」
碧の遺した書物には、一筋も神を呪う記述はない。
何故…何故墜とされ、見放されたのだろうか?
その淋しさには溢れていたけれど。
最初に造り、何度もその手で身体で愛したであろう碧い鳥を、よもや人間に奪われるとは、さぞかし怒り狂ったことだろう。
…我々は神を怒らせ、大洪水を起こさせた反逆の一族。
十分に罪を背負ってきたつもりだが、それは息子の代で終わらせたい。
「…せつないものだな」
足を止めて、再び空を見上げる。
闇が落ち、静かな夜が訪れる。
「隼人様」
呼びかけられ、そちらを見ると、颯太付きの楓が庭から隼人を見上げていた。
その端正な顔に浮かぶ悲壮感。
この男にとって何物にも代えがたい存在であろう颯太。
「心配するな。命は助かる」
「それでは颯太様は…」
「朱い鳥…天花が、天に去ろうとする颯太の魂を引き止めた。あれはまだ天命が尽きてはおらん」
血が出そうなほどに唇を噛み締め、その場で楓が土下座をする。
「申し訳ありません、私がついていながらこのようなことに…」
隼人は縁側に座り、ただ静かに楓を見つめてため息をついた。
「他の色の鳥が現れたんだろう?香りでわかる」
「…はい。黒い鳥が朱い鳥を掠い、颯太様がそれを追い掛け…」
「いいんだ楓。それもまた運命。我が家系にとってはどのように邪悪でも、碧の意志を伝えて死ぬのならば、本望だ」
…楓はただ、地面に額をこすりつけるばかりだった。
…天花と颯太の間に、確かな絆を感じる。
この短い期間の間に、颯太は頑なで凝り固まった朱い鳥の孤独であったり、淋しさであったり。
それを全て払拭したというわけだ。
――隼人は、まだ十分に若く、魅力に溢れた笑顔・・・思い出し笑いだが、颯太が成し遂げた数々の奇跡に驚きを隠せない。
神は、生殖能力がない。
けれど人類と、神の鳥にはその機能を与えた。
「仇になったな、神よ」
碧の遺した書物には、一筋も神を呪う記述はない。
何故…何故墜とされ、見放されたのだろうか?
その淋しさには溢れていたけれど。
最初に造り、何度もその手で身体で愛したであろう碧い鳥を、よもや人間に奪われるとは、さぞかし怒り狂ったことだろう。
…我々は神を怒らせ、大洪水を起こさせた反逆の一族。
十分に罪を背負ってきたつもりだが、それは息子の代で終わらせたい。
「…せつないものだな」
足を止めて、再び空を見上げる。
闇が落ち、静かな夜が訪れる。
「隼人様」
呼びかけられ、そちらを見ると、颯太付きの楓が庭から隼人を見上げていた。
その端正な顔に浮かぶ悲壮感。
この男にとって何物にも代えがたい存在であろう颯太。
「心配するな。命は助かる」
「それでは颯太様は…」
「朱い鳥…天花が、天に去ろうとする颯太の魂を引き止めた。あれはまだ天命が尽きてはおらん」
血が出そうなほどに唇を噛み締め、その場で楓が土下座をする。
「申し訳ありません、私がついていながらこのようなことに…」
隼人は縁側に座り、ただ静かに楓を見つめてため息をついた。
「他の色の鳥が現れたんだろう?香りでわかる」
「…はい。黒い鳥が朱い鳥を掠い、颯太様がそれを追い掛け…」
「いいんだ楓。それもまた運命。我が家系にとってはどのように邪悪でも、碧の意志を伝えて死ぬのならば、本望だ」
…楓はただ、地面に額をこすりつけるばかりだった。