アカイトリ
夢現に、声が聞こえた。
“死ぬな…
逝かないでくれ、颯太…
わたしを…
わたしを独りにするな…”
あれは…俺の天花の声だ…
俺の名を、呼んだ。
天花……
――瞼が震え、颯太が目覚める。
一番最初に見た人の姿は、天花だった。
覆い被さるように。
泣きそうな顔をしてこちらを見ていた。
「…天花…」
「ああ。…どこか痛むか?」
腕を動かしてみる。
脚を動かしてみる。
身体を起こそうとした。
「う…っ」
「動くな。まだ傷口は完全に塞がってはいない。わたしが…わたしが、絶対に治してやる」
――かすれた小さな吐息をついた颯太に気付き、天花は枕元の水差しを手に取る。
「飲めるか?」
無言で首を振る颯太に、天花は水差しを一口含むと、颯太の唇に唇を重ねて口移しで水を飲ませる。
ごくり、と嚥下した。
「…何だ?やけに優しいな…」
「わたしのせいで、お前は命を落としそうになった。わたしの責任だ」
傷だらけの腕を伸ばし、颯太が天花の頬に触れる。
それに、すり、と頬を擦り寄せた。
「気にするな。俺はお前を守ると決めた。お前のためなら、命を落とすことなんか構わない」
「…わたしを、独り置いて逝くつもりだったのか?」
「天花、お前は独りじゃないぞ。黒が…」
「あんなのは同朋じゃない!傷つけた…。お前を、傷つけた!」
――思わぬ激しい反論に、颯太は手を引っ込める。
「何故そう思う?」
「……傷つけた。お前を」
颯太は、かすかに微笑むと、天花側に寝返りを打つ。
それすらも痛むのだが。
「夢現に、お前に名を呼ばれた気がした。気のせいか?」
「…気のせいだ」
ぷいっと顔を背けるも、去る様子のない天花に、颯太は含み笑いをしつつも、再び眠りについた。
“死ぬな…
逝かないでくれ、颯太…
わたしを…
わたしを独りにするな…”
あれは…俺の天花の声だ…
俺の名を、呼んだ。
天花……
――瞼が震え、颯太が目覚める。
一番最初に見た人の姿は、天花だった。
覆い被さるように。
泣きそうな顔をしてこちらを見ていた。
「…天花…」
「ああ。…どこか痛むか?」
腕を動かしてみる。
脚を動かしてみる。
身体を起こそうとした。
「う…っ」
「動くな。まだ傷口は完全に塞がってはいない。わたしが…わたしが、絶対に治してやる」
――かすれた小さな吐息をついた颯太に気付き、天花は枕元の水差しを手に取る。
「飲めるか?」
無言で首を振る颯太に、天花は水差しを一口含むと、颯太の唇に唇を重ねて口移しで水を飲ませる。
ごくり、と嚥下した。
「…何だ?やけに優しいな…」
「わたしのせいで、お前は命を落としそうになった。わたしの責任だ」
傷だらけの腕を伸ばし、颯太が天花の頬に触れる。
それに、すり、と頬を擦り寄せた。
「気にするな。俺はお前を守ると決めた。お前のためなら、命を落とすことなんか構わない」
「…わたしを、独り置いて逝くつもりだったのか?」
「天花、お前は独りじゃないぞ。黒が…」
「あんなのは同朋じゃない!傷つけた…。お前を、傷つけた!」
――思わぬ激しい反論に、颯太は手を引っ込める。
「何故そう思う?」
「……傷つけた。お前を」
颯太は、かすかに微笑むと、天花側に寝返りを打つ。
それすらも痛むのだが。
「夢現に、お前に名を呼ばれた気がした。気のせいか?」
「…気のせいだ」
ぷいっと顔を背けるも、去る様子のない天花に、颯太は含み笑いをしつつも、再び眠りについた。