もしも君が助けてくれたら
家に帰ったとき、違和感があった。

玄関にいつもはない黒色の先のとがった高級ブランド革靴があった。

親父のではない。

誰のだ・・・?

首を傾げかけたとき、テレビでもよく聞く声がした。

「じゃ、俺帰るな」

「えぇ。ありがとう。気をつけてね」

そして、母さんの声。

靴から顔をあげると、サングラスをかけたスタイルのいい人が立っていた。

あり得ない。

いや、これは夢だ。

夢だと信じたかった。

「・・・狩谷・・・」

何でここにいる?

何でコイツがここにいるんだ?

コイツがいるべき場所は・・・、柊の家だろ・・・。

何で、俺の家にいるんだ・・・・?

ゾッとした。

嫌な予感がした。

狩谷も俺の存在に気がついてピタリと足を止めた。

「君は・・・」

狩谷の異変に気がついたのか、母さんもリビングから顔をのぞかせ、嘘がバレた子供のように罰の悪そうな顔をした。

「あ、狩谷さん。この子がこの前言ってたうちの末っ子の輝。ほら、輝。ご挨拶は?」

俺は、俺の肩を触れようとする母さんの手をはねのけた。

「さわんなよ!!」

母さんが驚いた顔で俺を凝視する。

俺は狩谷を睨んだ。

柊のところじゃなくて、何でここにいるんだ。

ここで何をしてたんだ。

狩谷の唇が動いた。

< 31 / 44 >

この作品をシェア

pagetop