もしも君が助けてくれたら
「母親には優しくしてあげないといけないよ。君たち子供は親がいないと何もできないんだから」

親がいないと何もできない?

じゃぁ、アイツはどうなるんだ・・・。

母親も父親もいない家で弟とたった二人で過ごしているアイツ等はどうなるんだ。

「じゃぁ、あんたは何でその何もできない子供を放ってるんだ。金だけ渡せば充分だと思ってるのか?」

自分でも驚くほど低い声がでた。

けど、それに驚いたのは俺だけじゃなかった。

狩谷も母さんも驚いていた。

けど、狩谷はすぐにフッと鼻で笑った。

「君は俺の子供を知っているようだね。それは、どこで知った?本人たちからか?それとも、君の母親からか?」

母さんが顔を横に振った。

「私は輝にあなたのことを言ってないわ!言うはずないもの!」

「そうだね・・・。言われたら大変だからね。だったら本人からか・・・」

狩谷は小さく舌打ちして小さな声で呟いた。

「・・・だったらおしおきをしないとな」

俺はハッとして狩谷に突っかかった。

「お前っ!!自分の子供が大切じゃねぇのかよ!!」

狩谷は小さなため息をついた。

「初めは可愛かった。・・・が、やっぱり俺は父親に向いてないみたいだ。安心しろ。きちんと金は毎日つぎ込んでいる」

そういう問題じゃない。

そういう問題じゃないんだ。

「お前、何も分かってねぇ。金をやっておけばいいもんじゃねぇ。アイツ等はそんな犬みてねぇな奴らじゃねぇよ」

狩谷が俺を見下ろした。

俺よりも高い身長。

モデルをやっているだけあって、迫力があった。

「へぇ・・・。だったらあの子たちは何を待ってるんだ?」

「あんただよ。あんたをずっと待っている。それから、母親をあんたに助けてほしいと思ってる・・・」

すると、狩谷がやれやれ、と首を横に振った。

「まったく残念だけど、あの女を俺は治すことができない。第一、目が見えないっていうのによくあそこまでやったものだよ」

そういえば、夏も言っていた。

母親は目が見えないって。

「だから、家族を捨てたのか」

狩谷が肩を竦めた。

「捨てたわけじゃない。ただ、距離をおいているだけだ」

と、その時、狩谷の携帯が鳴った。
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