もしも君が助けてくれたら
家に帰るとすごい形相で母さんと親父が待っていた。

「輝!どこに行ってたの!?」

「輝。あまり母さんに心配かけるなよ」

滅多に家にいないくせによく言うよ。

俺は親父を横目に母さんに言った。

「柊ん家」

母さんが口元を押さえた。

「柊?狩谷の娘さんたちと知り合いだったのか?そうか、この辺に住んでるのか」

俺は親父を振り返った。

「俺、狩谷の娘の由良と同じクラス。いい奴だよ、顔も可愛い。でも、狩谷とは似てない。多分母親似だろうな」

すると、親父は微笑んだ。

「そうか、そうか。それならよかった。狩谷もいい奴だからな」

そのいい奴があんたの妻を奪おうとしてるよ、と言いかけた言葉を喉ぎりぎりのところで抑えた。

「ちょっと疲れたから俺寝るわ。明日、学校だし」

母さんは親父にあのことを言われなくてすんだのか、強ばった顔を緩めた。

「そ、そう。おやすみなさい」

「おやすみ」

「・・・・」
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